術後7日目(遺伝子の優劣)

 起き上がる際の痛みがまだあるものの、口から食事が多少なりとも取れているせいか、少しずつ回復しているような実感がある。だけど体重はまだ減少中。

 点滴もドレーンも今日外れた。点滴が外れたことはうれしいのだけれども、これから生きていくのに必要な栄養素を口から摂取しなければならないことに対して正直ビビリが入る。どう考えても今まで食べてきた量の半分も食べられないし、水分だってゴクゴク飲める状態ではない。でもまぁDrがいいと言うからにはなんとかなるのだろうけどかなり不安。

 ドレーンを抜くときの感覚が面白かった。内臓を直接くすぐられているような感じがものすごく違和感だった。引き抜かれたドレーンは思ったより長く、抜かれた直後は血液や体液が付着していてチョット生々しい。でもこれでかなりの自由を得ることができた。

 

 病院生活にも慣れてきて少しだけモノを考える余裕がでたせいか、過去の自分の生活を振り返りガンになった経緯を振り返ってみた。

 確かに健康的な生活をしていたとは言えない部分は多々ある。ストレスも人並みにはあったと思う。ただし、暴飲暴食や不規則な生活はしていなかったはず。これといった特定するべき原因は見当たらない。

 結局ガンになるかどうかって、細胞が生まれ変わるときの遺伝子のコピーミスであって、確率の問題なのかなって。ただ、俗にいうストレスの過多や喫煙の有無って、その遺伝子のコピーミスを助長する可能性はあるのだろう。

 遺伝子のコピーミスが確率なのであれば、私自身は長生きに値しない確率にあたってしまったということだろう。医学の進歩によって幾らかの生きる時間を伸ばしてもらったが、本来は早死にする運命だったのかなって。別に悲観的に考えているわけではなく、遺伝子のコピーミスって良い結果を生む方にもあり得るわけだから、結果的にそうだったのだろうと受け止めてみた。

 と、まぁ優等生的な結論を無理やり引き出してみたが、やっぱり死ぬことって怖い。怖さを感じること自体も遺伝子のなせる業なのだろうけど。

術後6日目(術後の食事)

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  昨日の食事から3分粥だった。しばらく重湯だと思っていただけに少し驚く。三分粥ってどんな感じだろうと想像したけど、まぁ確かに三分粥だよなって感じ。また、恐るおそる食べてみると重湯の10倍はおいしい。米っておいしいんだなぁと改めて感じた。だけど反面食べることに対する怖さも付きまとう。Drが食べていいと言っているのだから大丈夫なんだろうけど、切除した縫合部から漏れたりしないの?とか、痛みがでたらどうしようとか不安に駆られる。

 そぼろ煮がおいしかった。病院食かつ術後のためかなり薄味なんだろうけど、醬油の風味が感じられて感動。やはり日本人なんだと思う。

 出された半分の量を30分かけてゆっくりと食べる。とりあえず痛みなどはなかった。摂取カロリーおよそ160Kcal。こんなカロリー量で生きていけるのか少し不安。

術後5日目(病院内を散歩)

 点滴&ドレーンにつながれたままなのがストレス。口から栄養が取れないのだから仕方ないのだけれど。

 

 1日に1度のペースでドレーンの中身を排出するようだ。看護師さんが対応してくれるのだけれど、シリンダのようなものに空けて量を計っているようす。そのときに廃液の匂いがかすかにするけど、何とも言えない生臭い匂いがする。廃液とはいえ内臓にあった液体なのだから生臭くてあたりまえなのだろうけど、自分の体の中の匂いを嗅ぐことができる経験って先ずないからチョット新鮮。ただ、匂いがにおいだけに看護師さんの苦労が少し分かったような気がした。

 

 暇にまかせて、院内を散歩してみる。特段興味深いものがあるわけではないけど、なるべく歩くようにとの指導なのでウロウロ。エレベーターで1Fに行き売店を物色。そう言えば消化の良いものなら食べてもいいと言われていたのでチョコレートを買ってみた。術前はチョコレートを自分で買うことはなかったけど、ここまで体重が減るとカロリー取らなきゃ痩せちゃうと思い購入。ベッドに戻って恐るおそる食べてみたところやはり胃重の感覚がきた。チョコレートって意外に刺激が強いんだなと学習。30分ほど胃重に悩まされる。

 

 少しずつ体調が戻ってきているような気がするけど、カロリーが足りないせいかすぐに疲れる。持ってきた本も読もうとする意欲が湧かない。それと痩せることに少し恐怖を感じる。あんなに痩せたい願望があったのに、今は怖く感じることが滑稽だ。Dr曰く、体重の減少は10%ぐらいで止まるらしい。このダルい感じはしばらく続くのだろう。

術後4日目(消化器系再開通)

 午前中に手術がうまくいったかどうかの検査をした。放射線科で機械に立たされた。Drの指示により機械に対して半身となり、液体を飲めと言われる。5日間飲まず食わずだったのに検査とはいえ、いきなり液体を飲むことに抵抗があったが、しかたなく仰せのままに従う。計2口飲み込んだ。

 液体は透明で苦みがあった。放射線を遮断するもののよう(バリウムではない)で、飲み込んだ軌跡が映像として記録されていて、Drからその映像を見せられた。

 「この部分が胃で、ここらへんが十二指腸。薬がきれいに流れていて漏れがないのでOKです」とのこと。一安心したが。液体がこんなに簡単に十二指腸に流れ込んでしまうんだなと軽いショックだった。ある程度の固形物ならば多少なりとも小さくなった胃でとどまってくれるのだろうけど、そのあと水分をとったらいきなり十二指腸へ押し流してしまうってことでしょとDrに聞いたら、「その通り」とのこと。そのため、様々な障害(早期ダンピング)が発生するとの説明だった。想像していた通りだが、食事はゆっくりよく噛んでが基本らしい。

 

 部屋に戻って久しぶりの食事をとった。とはいっても

 ・重湯50g←メニュー表に表示してあった

 ・スープ100ccぐらい?

 ・牛乳200cc                全体のカロリーは160kcal

 重湯が50gなのに牛乳が200cc(小パック)だされたことが驚いた。まあ、どおせ飲みきれないだろうし、封を切ると衛生上の問題があったりするからだろう。先ほど薬液を飲まされたとはいえやはり怖いので、恐るおそる口に運ぶ。久しぶりの食事だったが重湯だけにあまりおいしくは感じない。スープもとても薄味だった。当たり前といえば当たり前か。胃を縫合したところに漏れはないといっても、傷口が治癒しているわけはないのだから、刺激するものは減らされて当たり前。ただ牛乳はおいしかった。何かを食べた気がしたのはこの牛乳だった。

 術後初めての食事で食べた量は

 ・重湯50g←完食

 ・スープ50cc←半量

 ・牛乳←3口

以上を20分ぐらいかけて食す。採れたカロリーは70kcal程度かな。

 食後に異変が起きたりしないか心配だったが、特に問題なかった。昼食も同じようなものでスープが葛湯で牛乳がトマトジュースになっていた。また、ミルク寒天が80gほど追加されていた。やはり全体の1/2量弱を食し終わらせた。

 

 朝・昼と食事をしてみたが、ダンピングと称されるものは感じなかった。まだ点滴もつないだままなので、そこでバランスがとれているからかもしれないけど。

術後3日目

 朝、執刀してくれたDrが様子見に来てくれた。順調であることを告げると、手術はうまくいったので心配いらないと話してくれた。まだ7時過ぎぐらいの時間だったと思う。外来の日なのにこんなに早くから出勤しているんだと思うと頭が下がる。

 

 鈍痛は、少し引いてきたかなと感じるが、痰を吐き出すときや寝返り・ベットから起きるときの激痛は変わらない。ベットから起き上がる際は両手で柵をつかんで何とか起き上がるのだけれど、力をいれた瞬間の痛みがとても強い。針で刺されたか何かで切られたかのような痛みと形容すれば伝わるのかも。

 

 飲まず食わずの生活が4日目になるも、特段何か食べたいとかは思わない。むしろ食べなければならなくなることに対する怖さがでてきた。明日の午前中に行う検査が良好ならば食事が始まるとのこと。食事と言っても重湯らしいがチョット緊張する。

 

 先ほど何となく体重計に乗ってみた。飲まず食わずとはいえ点滴で生きているので大きな体重減とはなっていないと思っていたけど、大きな体重減だった。およそ術前からみて約7%ほど。わずか4日で7%の減ってすごくない?と一人呟いてみた。やっぱり腹切るって体にとっては大きなショックなんだなと認識した。

 とは言え、身の回りのことは自分でできるし、気分的には落ち着いてきたように感じる。手術当日の拘束状態からみれば今は天国に近い。後は点滴とドレーンさえ抜ければほぼ自由だ。←かなり楽しみ。