手術翌日2&術後2日目

 術後2日目だけど、「手術翌日1」の続き

  ようやく長い長い夜が明ける。窓から光が差し込んでくるとなぜかホッとする。夜が明けると痛みが和らいだように感じるのは気のせいなのかな。

 先ほど背中から硬膜外麻酔の管と導尿のカテーテル・鼻から胃までのドレーンを外したので、幾分気が楽になった。点滴と術部からのドレーンはそのまま。

 硬膜外麻酔の管は引っこ抜いて終わり(見えてないから想像だけど)

 鼻からのドレーンはズリズリとDrが引き抜く。手品で帽子から国旗がいつまでも出てくる(古い?)芸を見ているかの如く長い。1メートルくらいかと思うけどとても長く感じた。引き抜かれる際に体の中を何かが動く感じがチョット違和感。何とも表現できないイヤな感じがする。

 導尿のカテーテルを外すのはトイレで行うので起きて着替えてくださいとのこと。まる1日寝て過ごしていたので、起きるのはありがたいが「起きられるの?」と自問自答。看護師さんに手伝ってもらいながらゆっくり上半身を起こした。以外にも貧血っぽい症状は出なかった。

 管だらけの体ながら無事に着替え終了。トイレに向かうために立ち上がったが、地に足がつかないってこういうこと?ってくらいフラつく(誤用)。でも立ち上がれた時何気に嬉しかった。無事に終わったんだって。

 

 

術後2日目

 術後2日目となったが鈍痛は続くし、痰を吐き出す際の激痛は変わらない。硬膜外麻酔を外したせいか鈍痛は昨日よりキツイ。Dr曰く3日もすればかなり楽になるとのことだった。

 昨日から比べれば、体調はかなり戻ってきたように感じる。トイレに行くのに不安はなくなった。

 傷を確認してみると、縫合の糸もステープラーの針もなくサカムケアみたいなものが傷口に塗られている。よくよく見ると臍の中に傷があった。かさぶたがあるのでどのように切開したのか分からないけど、しつこく丁寧に掃除していた訳が分かる。

 この傷とこの先一緒に生きていくんだなと思うと、不思議な気持ちがする。ただ温泉とか行ったときにチョット恥ずかしいかなとも思ったけど、恥ずかしいと思えるのも温泉に行けるからだし、行けるだけでもOKかと考え直す。

 

 禁飲禁食が続く。禁食はいいけど禁飲が少しツラいかな。

 

 そういえば、手術に付き添ってくれた家族は、手術後の説明を受ける際に、切除した胃を開いて標本のようになったものを見たそうだ。人差し指と親指で輪を作ったぐらいの大きさのガンだったそう。表面はツルツルしていて色が周囲と違っていたらしい。それを聞いた時「写真撮った?」と聞いたが撮ってなかったとのこと。写真があったらアップできたのに。残念。

手術翌日1

 麻酔が切れてからは、鎮痛剤が効いているのだろうけど鈍い痛みが続く。全身麻酔の影響で痰が絡む。うがいしながら痰をだしてくださいとの指示。口の中は酸素吸入でカラカラ。絡んだ痰を吐き出そうとするとものすごい激痛。でも吐き出さないと呼吸が苦しい。背中が痛いが、寝返りはもっと痛くてできない。足には血栓防止のマッサージ器みたいなものが取り付けられてダースベーダーみたいな音をさせていた。真夜中の暗闇の中モニターが赤く点滅する。「何か異常が?」しばらくすると緑に戻るも、また赤い点滅。なかなか消えない。「もしかして私アブナイ?」当直の看護師さんはなかなか来ないので、ナースコールを押してみる。ようやく来た看護師さんに聞いてみると、一時的に酸素濃度が下がると赤くなるだけで心配いらないと説明されたが、術後の真夜中に自分のモニターが赤く点滅ってやっぱり怖かった。

 

 ダメだ。体力が続かない。続きはまた明日。

手術日

 やっぱり眠りは浅かった。6時までは水分摂取は可能とのことだったので、大好きな缶コーヒーを買って飲んだ。コーヒー好きではなく缶コーヒー好きなのはこだわりだ。だけどこんなものを毎朝飲んでいたのがこの結果なのかなとも少し思う。

 

 先ほど点滴が開始された。この点滴による拘束感が非常にストレスで嫌い。点滴が減っても留置針が残されることがあってこれもストレス。ラインでつながれているよりはいいけど。

 

 手術は9時開始予定とのこと。少し前に移動するらしい。

 

 眠って覚めたら痛いんだろうなぁ。

入院初日

 午前10時に病院着。受付で書類を渡すと病棟を指示され向かう。

 病棟は朝の食事も終わったせいか、何となく落ち着いた雰囲気に感じられた。ナースステーションで呼び鈴を押すと、担当の看護師さんがやってきた。デイルームで病棟での生活に必要な説明を受ける。その後自分のベッドに案内された。窓際がいいなと思っていたが願いかなわず出入り口に一番近い場所となる。まぁ、術後はモニター・点滴・ドレーンなど管理するべきものがたくさんあるから、あえて窓際にしたのかもしれないけど。

 荷物を整理したところで、レントゲンに行ってきてくれとの指示。「また?」とも思ったが、拒否できるはずもなく撮影。恐らく麻酔の針を刺すための確認なんだろう。

 

 昼食は普通食。まともな(量の)食事もこれを含めてあと2回かなどと思いながらいただいた。今後のことを考えると病院食ながら非常においしく感じられた。いや、最近の病院食はとてもおいしくなってきている気がする。だいたい、トレーに温かい部分と冷たい部分があるなんて、よくできていると感心する。

 

 午後3時頃麻酔科での問診。全麻だとは思っていたけど、硬膜外麻酔も併用するらしい。硬膜外麻酔を見たことはあるが自分にされるとは思っていなかった。これをするということは術後の痛みが強いんだろうなと少しビビリが増す。

 

 夕食前に剃毛と入浴、お腹をバリカンみたいなもので剃毛してくれっていわれたけど何もないしなと思いつつ、形ばかりだけどそのバリカンらしきものでまねごとをしてみる。あと臍の掃除をしてくれと綿棒と油?をバリカンと一緒に置いていった。腹部の手術って臍の掃除までするのねと新たな発見。ひととおり終わらせたところで、看護師さんが確認に登場。臍の掃除が不合格らしく看護師さんに徹底的にやり直された。あまりにしつこく丁寧にされるので少し痛んだ。そこまでやらなくてもと思いつつ感染症も怖いので我慢した。

 

 ある意味最後の晩餐後にDrから改めて手術の説明。精査した結果腹腔鏡で手術を行うらしい。それはそれでありがたいと思ったが、摘出した部分を取り出す際には鳩尾のあたりを5cmほど切開して取り出すらしい。どうせ切るなら開腹手術にすればいいじゃんとも思ったが口に出せるはずもなく「はぁ」と相槌を打つ。

 リスクの説明が長い。ニュースなどでも良く聞くトラブルがあった際の予防線なんだろうけど、うまくいって当然で少しのミスも許されない医療の仕事って大変だよなと妙なところで同情した。胃の切除は良くて1/2場合によっては2/3で、目視の結果全摘もあるとのこと。良きにお計らいくださいと心の中で呟いてみる。ひととおり説明が終わるとサインを求められた。まぁ何かあっても訴えるつもりもないのでサラッと署名。

 

 体重がかなり減るらしい。10%前後。体重が減るのはいいけど、体力も当然減るんだよなとそこが心配。心配したところで仕方ないけど、病人然りの風貌にはなりたくないななんて思ってみる。

 

 いよいよ明日か。あまり寝られないんだろうな。枕も変わったし。

検査結果(現在のところガン転移なし)

 検査結果の説明と今後の治療方針を決めるために受診してきた。

 ・有意なリンパ節腫大を認めない

 ・腹水なし

 ・胸水なし

 ・各臓器に転移を疑わせる所見なし

 つまり、現在のところ転移はなさそうだとのこと。一安心はしたが、あくまでも”なさそうだ”というだけで、”ない”とは言われていない。最初は「取っちゃえば大丈夫だから」と言われていたのに、「現在のところ転移は確認できない」に変化していて、モヤモヤは晴れない。

 最初の告知の頃は、恐らく患者がパニックにならないように、明るく対応してくれていたのだろう。徐々に状況が明らかにつれて、状況に合わせたリスクを説明してくれているのだと思う。

 この検査結果を聞くのがとても怖い。病気が病気なだけに。

 だけどどこか冷めている自分がいて「なるようにしかならないさ」と受け入れている自分がいることも認識できた。昨日までは、転移が見つかったら身の回りの整理として何から始めようかなどと考えている時もあった。 今から思えば、受け入れている自分って、ショックを和らげるための予防線を張っていたのかななんて自己分析。

 

 27日入院。28日手術に決まった。